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ベートーヴェンの最も愛した交響曲

今日は夏休み前の、最後の指揮のレッスンだった


ベートーヴェンの、交響曲第8番。


ベートーヴェンは生涯に9曲の交響曲を書いているけれど、この第8番を一番気に入っていたとか(だが、聴衆からの評価はあまり高くなかったといわれている)。


ベートーヴェンの時代というのは貴族達に作品を献呈して、その代わりに金品を受け取るというのが作曲家の生計の立て方だったわけだが、どういうわけかこの第8番は、誰にも献呈されていない。


これは、もしかしてベートーヴェンが自分自身のために書いたのではないか・・・と思ったり。


この第8番は、恐らくベートーヴェンの9曲の交響曲の中で一番陰が薄いのではないだろうか


のだめカンタービレで一躍有名になった第7番、歓喜の合唱としてあまりにも有名な第9番(ただし第9番の合唱部分以外まで知っているか、と言われたら知らない人が圧倒的に多いのが残念)。その間に挟まれた第8番は目立たないながらも非常に素晴らしい曲だと僕は思う。


この曲は「古典に回帰」した曲とよく言われている。


ベートーヴェンは交響曲全9曲で色々な試みをしている。


第1番は管弦楽の中の管楽器の可能性を広げたと言える。今までの管弦楽というのは弦楽器が主体で、管楽器は和声的な補助や一部のソロに使われるのがほとんどだったわけだが、交響曲第1番は管楽器の活躍ぶりから、ライプツィヒ総合音楽新聞なる新聞に「これは管弦楽ではない。吹奏楽だ」という評価を受けたそうだ。
また、第3楽章はメヌエットとされながらも明らかにスケルツォの楽曲である。


第2番で、第3楽章に初めてスケルツォが置かれた。また、今まであまり目立つポジションにいなかったクラリネットが大活躍する。

第5番では初めてピッコロ、コントラファゴット、トロンボーンが管弦楽の中に登場する。また、「楽章の連結」も初めての試みだろう。

第6番は、今までの「絶対音楽」ではなく「標題音楽」。


と、色々な手法を取ってきたベートーヴェンだけど、第8番では編成も元の古典交響曲の編成に戻り、第6番のような標題も付いていない。


まるでハイドンやモーツァルトの時代に戻ったかのような。



もちろん、古典に回帰したといっても色々と面白い書き方がされている。



第1楽章はいきなり主題から始まる(序奏が置かれていないことももしかしたらこの交響曲が小さいというイメージを持つ原因になるのではないだろうか)。


そこに重苦しさは全く無い。ヘ長調の、底抜けに明るいメロディ。喜びを爆発させているようだ(僕はレッスン中指揮から全く喜びが感じられない、と怒られたが)。


第2主題にワルツが用いられているのも実に面白い(ガリレオではない)。


再現部で第1主題が低弦で演奏され、しかも当時としては異例のフォルテッシシモ(フォルテ3つ)であることは鳥肌モノ。


第2楽章ではメトロノームを発明したメルツェルに贈られたというメロディが出てくる。また、楽曲全体も、メトロノームをイメージさせる。この曲はスケルツォ。とうとうベートーヴェンは、緩徐楽章を交響曲の中に入れないということをやってのけた
「古典への回帰」などと言っていながら、交響曲の大前提だった「急-緩-舞曲-急」という構成を完全に無視しております(笑)。


第3楽章。ベートーヴェンは交響曲第8番にしてやっと、第3楽章にメヌエットを置いた(第1番の3楽章もメヌエットと書かれているが明らかにスケルツォだと思われる。恐らく、形式的な表現に従ったのだろう)。


・・・と思いきや。


Tempo di Menuetto


意味は、「メヌエットのテンポで」。


明らかに3拍子、メヌエットの音楽なのに、メヌエットとはっきり書かなかったのは一体なぜ・・・?


第4楽章は実に難しい・・・。今日の指揮のレッスンでも全く歯が立たなかった。

まるで小人か妖精が元気に駆け回っているような(実際に見たことはないけど)楽しい音楽。


そういえば去年、下野竜也先生の指揮のレッスンの伴奏をさせて頂いたことがあるんだけどその時の課題がこの交響曲第8番だった。第4楽章が弾け無すぎて夜中に涙目でさらったっけなぁ・・・


今回全く上手くいかなかったこの楽章を、夏休み明けにリベンジしたいと思う。





おっと、大分長くなってしまった


あまり演奏される機会も多くなく、陰の薄い交響曲第8番。


しかし、聴いてみると本当に素晴らしい名曲だ。


是非知らない人も、一度聴いてみてもらいたい。










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プロフィール

泉 翔士(ズーミン)

Author:泉 翔士(ズーミン)
東京音楽大学大学院作曲指揮専攻指揮研究領域修了。


指揮者、伴奏ピアニスト、テューバ奏者などの演奏活動の他、吹奏楽講師(合奏指導、金管トレーナー)として主に関東圏内で活動中。

指揮、指導等の仕事の依頼はコメント、メッセージ、Twitter等で承ります。
Twitter:@cond_zoomin

♪21st Century Orchestra Tokyo 音楽監督
(2017年1月~)
http://www.21stcot.com/

♪黒門吹奏楽団 常任指揮者
(2013年9月~)
http://kuromon.jimdo.com/

♪八千代フェスティバルバンド 常任指揮者
(2015年6月~)
http://yachifes.ddo.jp/

♪練馬アカデミー合唱団正指揮者
(2017年4月~)
http://music.geocities.jp/nerima_academy_chorus/


趣味はベースの演奏と、変なTシャツを集めること、食品サンプル制作など。



出演情報(随時更新)
2017年
10月29日(日)
八千代フェスティバルバンド第9回スペシャルコンサート
八千代市市民会館
入場無料

13:30開場
14:00開演

チャイコフスキー:荘厳序曲「1812年」 他


11月29日(水)
21st Century Orchestra Tokyo
第4回定期演奏会
かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
S席 5,000円
A席 3,000円
B席 2,000円
(学生券各種500円引き)

18:30開場
19:00開演

シベリウス:交響曲第2番 他


12月27日(水)
医科学生ウィンドオーケストラ 第4回演奏会
めぐろパーシモンホール 大ホール
入場無料・全席自由

17:30開場
18:00開演

「GR」よりシンフォニックセレクション
ピータールー序曲 他


2018年
1月20日(土)
黒門吹奏楽団第7回定期演奏会
新宿文化センター大ホール
入場無料

13:00開場
13:30開演

N.ヘス:イーストコーストの風景
モンティ:チャールダッシュ 他

共演:蓼沼雅紀(サクソフォーン)


3月7日(水)
第2回医科学生ウィンドオーケストラ春季演奏会
品川区立総合区民会館(きゅりあん)大ホール
入場無料・全席自由

夜公演

樽屋雅徳:民衆を導く自由の女神
ヤン・ヴァン・デル・ロースト:いにしえの時から 他


7月1日(日)
八千代フェスティバルバンド第7回ポップスコンサート

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